第169回(2023年上)直木賞候補作全部読むの巻。
はじめに
発表された候補作を全部読んで、どの作品が受賞するか予想しました。
ワンポイント感想で明確なネタバレはしていませんが、本を読みなれている場合は内容の予想がついてしまう表現があるかもしれないので、それがイヤな場合はブラウザそっ閉じ願います。
逆に、フワっとしたことしか言ってないじゃん、と物足りない方がいらしたらそれもごめんなさい。
リンクは全体的にAmazonへ飛びます。
サクッと予想
今回はズバリ「 木挽町のあだ討ち」(永井沙耶子/新潮社)ではないかと予想。
普通に小説として、一番デキがよかったと思います。
個別感想
「骨灰 」(冲方丁/KADOKAWA)
第169回直木賞候補作! 進化し続ける異才が放つ新時代のホラー。
大手デベロッパーのIR部で勤務する松永光弘は、自社の高層ビルの建設現場の地下へ調査に向かっていた。目的は、その現場について『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』というツイートの真偽を確かめること。異常な乾燥と、嫌な臭い――人が骨まで灰になる臭い――を感じながら調査を進めると、図面に記されていない、巨大な穴のある謎の祭祀場にたどり着く。穴の中には男が鎖でつながれていた。数々の異常な現象に見舞われ、パニックに陥りながらも男を解放し、地上に戻った光弘だったが、それは自らと家族を襲う更なる恐怖の入り口に過ぎなかった。
「#骨灰」(#冲方丁/KADOKAWA)
— 七海奈波@ななみ (@nanamix2) 2023年6月26日
文章の整った洒落怖。正直ホラー好きは幾度となく見たモチーフではある。現象は派手だけどそんなに怖くないホラー。読み疲れしない、ダレない、構成がしっかりしている。驚きポイントもちゃんと用意されていてよい。#第169回直木賞候補https://t.co/hfPmRGn4GH
「極楽征夷大将軍」(垣根涼介/文藝春秋)
やる気なし使命感なし執着なしなぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
「#極楽征夷大将軍」(#垣根涼介/文藝春秋)
— 七海奈波@ななみ (@nanamix2) 2023年6月26日
足利尊氏の話。本人の頭が極楽なら、周囲は地獄を見るのは当たり前の話でした失念。主に弟君の直義と側近の師直が尊氏を担ぎ上げて室町幕府が成立するのだけれど…というなんかまあ、組織を作るって大変だね…。#第169回直木賞候補https://t.co/jjHxaRVegL
「踏切の幽霊」(高野和明/文藝春秋)
「踏切の幽霊」『ジェノサイド』の著者、11年ぶりの新作!マスコミには決して書けないことがある――都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、
「#踏切の幽霊」(#高野和明/文藝春秋)
— 七海奈波@ななみ (@nanamix2) 2023年6月29日
踏切で電車の緊急停止が相次ぎ、それがどうも幽霊のせいらしいということで雑誌記者がその正体を追う話。社会派ホラーとでも分類するか。わりと悲劇的かな。真相究明に重点が置かれていて、ミステリっぽさが強め。#第169回直木賞候補https://t.co/A4bIj3tOJK
「香港警察東京分室」(月村了衛/小学館)
テロリストを追え! 圧巻の国際警察小説。香港国家安全維持法成立以来、日本に流入する犯罪者は増加傾向にある。国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力する――インターポールの仲介で締結された「継続的捜査協力に関する覚書」のもと警視庁に設立されたのが「特殊共助係」だ。だが警察内部では各署の厄介者を集め香港側の接待役をさせるものとされ、「香港警察東京分室」と揶揄されていた。メンバーは日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名である。初の共助事案は香港でデモを扇動、多数の死者を出した上、助手を殺害し日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授を逮捕すること。元教授の足跡を追い密輸業者のアジトに潜入すると、そこへ香港系の犯罪グループ・黒指安が襲撃してくる。対立グループとの抗争に巻き込まれつつもユー元教授の捜索を進める分室メンバー。やがて新たな謎が湧き上がる。なぜ穏健派のユー教授はデモを起こしたのか、彼女の周囲で目撃された謎の男とは。疑問は分室設立に隠された真実を手繰り寄せる。そこにあったのは思いもよらぬ国家の謀略だった――。アクションあり、頭脳戦あり、個性豊かなキャラクターが躍動する警察群像エンタテイメント!
「#香港警察東京分室」(#月村了衛/小学館)
— 七海奈波@ななみ (@nanamix2) 2023年6月29日
日本・香港の警察官各5名ずつの10名で構成された特殊部署が、香港でデモの主犯とされる被疑者を捜索しつつ黒社会とドンパチしたり本庁と政治的駆け引きをしたり…という話。万人受けしそう。ややご都合感はある。#第169回直木賞候補https://t.co/wwSPNKxiw3
「木挽町のあだ討ち 」(永井沙耶子/新潮社)
疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。芝居町の語り草となった大事件、その真相は――。
「#木挽町のあだ討ち」(#永井沙耶子/新潮社)
— 七海奈波@ななみ (@nanamix2) 2023年6月29日
木挽町での仇討ち、その目撃談と目撃者達の人生、そして人間模様を描く、インタビュー形式の時代ミステリ。謎解き要素は薄いのだけれど、舞台設定がしっかり生きていて、読ませる力が強かった。タイトルも◎#第169回直木賞候補https://t.co/CWdBP8icHd
作者受賞歴